ぴあの玉手箱

Mondo Piano Music Journal

捏造された偽作とは言え、オルガンと弦楽合奏で演奏される名曲。現在のクラシック音楽の演奏会、バロック音楽のレパートリーとしても欠くことの出来ない大名曲。もし、ニューイヤーコンサートの最後に演奏される、ラデツキー行進曲(これは、シュトラウス親子それぞれの別曲があることは分かっています)。とんでもないことだけど「美しき青きドナウ」がヨハン・シュトラウス以外の作曲だったという事になっても、ニューイヤーコンサートで演奏されなくなるって事はないでしょう?

(写真は、雪帽子の聖トーマス教会)

第二次世界大戦中に連合軍が敢行したドレスデン大空襲。この空襲でドイツのクラシック音楽の多くの楽譜が紛失したり、散逸しました。その一方で、空襲の後で被害を逃れるために運び出された荷物の中からそれまで存在が知られていなかった多くの楽譜が発見されることにもなりました。バロック音楽の時代、バッハと同時代の作曲家で名前だけ知られていた作品なども発見されたのは、空襲が残した功績。さて、旧ザクセン国立図書館の廃墟から発見されたトマゾ・アルビノーニの楽譜の断片をレモ・ジャゾットが基にして編曲したというのが「アルビノーニのアダージョ」です。編曲したというところがポイントで、修復でも補作でもありませんからジャゾットは攻められる立場ではなく「アルビノーニ作曲 オルガンと弦楽合奏のためのアダージョ ト短調」とある方が偽り。捏造ではなくて、従来の表記に倣ってレコードに解説を載せてしまったのがいけなかったと言うことですね。資料だけに基づいて曲解説を書くものではないという模範のような出来事で、音楽を聴けばバロック時代の音楽ではないと分かりそうな物なのですが・・・出版されたのは1958年。バロック音楽と言う言葉がまだなかった時代のことですから、致し方のないところです。

アルビノーニの「ソナタ ト短調」の断片を構成したという事になっていますけれども、アルビノーニの音楽の要素は感じられません。曲は1962年の映画「審判」で使われて以来、メル・ギブソン主演の「誓い(1981年公開)」など数多くの映画やテレビの音楽に登場しています。テレビ朝日の「相棒」では初期シリーズでは頻繁に登場。

「板子1枚、下は地獄」・・・さりとて、人は日々を生きていかなければイケ無い。もぞもぞとでも蠢くように活動を続けることこそ大切なのです。TBSが昔に作った古谷一行さんが金田一耕助を演じたテレビ映画「八墓村」が新年5日にBS-TBSで再放送されました。その中で繰り返して使用されていたのが「アルビノーニのアダージョ」で、ドラマの最後で金田一と等々力警部のやりとりは繰り返して使用されていることを理由づけているようで妙に納得してしまいました。何度も登場するので、何故だろうと思っていました。「アルビノーニ作曲のト短調アダージョ、ジャゾット編曲」などと表記は残っていても、曲が発表されて半世紀。ジャゾットの名前は既に記憶から消えかかっています。アルビノーニの名前を借りる必要もなく、バロック音楽とかクラシック音楽という印象さえもう感じられないのではないかしら。聴けば誰もが良く知っている音楽になっていますね。

なお、BS-TBSで放送されたテレビ映画「八墓村」で劇中使用された「アルビノーニのアダージョ」の演奏は、パイヤール指揮パイヤール室内合奏団の録音(BMGビクター)です。

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ローカルのケーブル放送局で音楽番組編成と、番組作成を担当。必要とあれば音響の確認に工事スタッフと一緒に店舗まわりもしました。その際、地域の音楽愛好家と交流。老舗レコードショップから通販サイトを手伝ってほしいと参加したのが WordPress サイト作りの足がかりとなりました。

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