ぴあの玉手箱

Mondo Piano Music Journal

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前奏曲作品28第8に中間部がよく似ていることで、親しまれている有名曲。演奏が始まって直ぐには良い曲かなあと思うところもありますけれども、聴き終わって、「あぁ!ショパン」って感嘆がこぼれます。ノクターンだけに王子様の横顔を眺めているようです。1831年、ショパンが21歳の時の作品。同年の第4番ヘ長調と、翌年(1832年)に作曲された第6番ト短調とセットにして1833年にまずパリで出版。ライプチヒとロンドンから1834年に出版された、「3つのノクターン 作品15」の2番目に収められています。

ノクターンは夜想曲と日本で早くされていますが、音楽様式としてしっかりと根拠のあるものではありません。ショパンは同郷のピアノ音楽の先達であるフィールドが創始した「ノクターン」を引き継ぎました。この作品15に収められている3曲は、フィールドの影響がしっかり現れている第4番と、ショパンらしいノクターンとなった第6番。そして、この第5番と並べて聴く事でそれぞれを単独で聴くときと、3曲をセットとして聴くときには発見が違ったりするのが面白いところです。

他の作品同様にご多分に漏れず、ポーランドの民衆音楽に根っこがあって三拍子が基本となっている踊りの音楽。「夜想曲」という邦訳は妙薬だと思いますが、日本でのこの曲を楽しむときの印象にはずれがあるようです。眠りにつきながら聴く音楽ではなくて、寝ている間に聴いていたい音楽。夢の中で楽しく聴こえ流れているような音楽ではないでしょうか。

イグナツィ・パデレフスキ ピアノ演奏 1911年(明治44年)7月、スイス・モルゲスで録音。( His Earliest Recordings 1911-1912 )

ショパン生誕100年は公に祝われたのか、密やかだったのかは分かりませんけれどもSPレコードの録音は多い時期です。パデレフスキは1913年にアメリカに移住しますので、SPレコードとしてはヨーロッパでの最後のレコーディング・セッションの1曲ではないでしょうか。パデレフスキは第一次世界大戦が起こるとポーランドの首相兼外務大臣に就いたり、後には国連のポーランド大使を務めています。


西に夕日、東には虹、そして真上は天気雨。

時空の扉が開いて、天使が降りてくるタイミング。

天使はいつでも舞い降りてくる。

それは大方いつも同じだと言います。

魔法のような条件が揃うと不思議なことが起こると驚くのは、わたしたちのほうなんです。

逃がした青い鳥を取り戻そうと青い鳥の幻影に引き回されている間に青い鳥は家に戻っていたように、お互いが動き回っているとタイミングを逃してしまうものです。

毎日同じ時間に、書きたいことが溢れていようと気が進まないだろうとも机に向かうようにしていることが大切。

そうしていると、天使が通り過ぎていく瞬間に出逢うことが出来る。

とある作家の言っていた言葉は忘れられません。

ベートーヴェンにもモーツァルトにも、天使が降りてきた瞬間に楽譜に音符を書きとどめたんじゃないかと思われるところがあります。

シューマンが『天使が教えてくれた曲だ』と言っていたピアノ曲があります。そのシューマンの最後の『天使の主題による変奏曲』の主題はヴァイオリン協奏曲の第2楽章と同じメロディーです。

シューマンはピアノ協奏曲、チェロ協奏曲は有名で優れた演奏も多いのですが、作曲されて84年間封印されていました。はじめて音として奏でられたのは1937年、ナチス・ドイツの宣伝省Gaulaで動いて行われた経緯があるためでしょうか現在でも録音は少ない。

独奏者、オーケストラ、そして聴衆の『シューマンのヴァイオリン協奏曲 』に対するイメージのタイミングがしっくりしてくるにはまだまだ長い時間が必要かも知れません。

listen 05_Schumann_-_Violin_Concerto_-_II._Langsam.mp3


「ショパンが弾ければ、バッハから現代曲までこなせるが、その逆はない」・・・ニキタ・マガロフのこの言葉は、ピアニストの本質を端的に表現できているといつも心に留まっていることで、クラシック音楽に限らずピアノ曲を聴く時、選ぶ時、奨める時にわたしの中でとても大きく占めています。

ショパン弾きと言われるピアニストが、優れたバッハを聴かせてくれることは確かでも、モーツァルトで酔わせてくれるピアニストはなかなかにショパンを弾いていたりしません。

それだけにショパンはピアノの中に生きて終わる覚悟も求めるような所があるのではないでしょうか。

モーツァルトの本質はオペラを理解できるほどに見えてくるものですし、バッハは一様のピアノでは真実を表してくれないところがあります。
優れたピアニストを世に問うコンクールで、ショパンコンクールと並ぶリスト国際ピアノコンクールがありますけれどもリスト以外の曲を演奏しても良く、ショパンの作品だけに限られているショパンコンクールはピアノの世界、ショパンにだけレパートリーと生涯をかける信念をも問うているように感じます。
ポリーニはコンクールで優勝した後、姿を隠してショパンの影を吹っ切ることが出来て代わるものの出来ないショパンの演奏を出来るようになりました。2010年はショパン生誕200年。数多くの才能との出逢い、ショパンの様々な解釈の演奏に出会える期待に胸が膨らんでいます。

ショパンの曲を中心に「 ショパン、ピアノ玉手箱」では案内いたします。ショパンにゆかりのある作曲家のピアノ曲へと紹介の幅を拡げていく予定です。

「華麗なる大円舞曲」はショパンのワルツ集の第一曲。正しくは、「ワルツ第1番 変ホ長調 作品18 華麗なる大円舞曲」となります。ショパンのワルツと言えば、最初に出てくる曲ですからそうそう間違うことはないのですけれども、ワルツ第2番から「猫のワルツ」という別名のある第4番までの三曲は「華麗なる円舞曲」と同名、第5番は「大円舞曲」となっています。間違いやすいのです。

YOUTUBEには、ニキタ・マガロフの演奏した「華麗なる大円舞曲」を作品15と誤記されていました。ちなみに、作品15は「3つのノクターン」です。

ワルツ集の1曲目「華麗なる大円舞曲」は、名前道理の華々しい音楽です。ショパンのメロディーメーカーぶりをアピールするような内容で、7つのメロディーがただただ並べられているだけです。ソナタ形式とか、変奏形式ではなく、無造作ぶりにつなげられているメドレー形式を、「ポプリ」と言います。「ポプリ」の語源はフランス語で、「ごった煮料理」のことですけれども、香草にオイルを混ぜて作る室内香のように全体の調整はとても微妙。むせかえるようなゴージャスな演奏もあったりします。ワルツ集としての顔ですけれども、全15曲を聴き通せないほどお腹いっぱいになっては残念。

この一曲をじっくりと、7つのメロディーを繰り返し楽しむのも面白いです。

ワルツ集としてまとめられて出版されたのは1834年。ショパンは24歳。二十歳の時にウィーンに滞在しようとして、ウィーンの人の冷ややかな対応に夢破れてパリに新しい活路を見つけて、一躍注目されることになった「ワルツ集」。パリっ子にはとても受けたようです。ウィーンを離れる時に、ちょうどヨハン・シュトラウスのワルツが流行していたこととの関係も少なくないのではないかしら。

遺作を含めて、19曲、あるいは20曲を順番に聴いていくことも楽しみ。でも、リパッティなどの大ピアニストと呼ばれた演奏家は、個性的な順番で演奏していることが少なくありません。ショパンのワルツが遺作を含めて一通り発表されるのは1970年頃。ニキタ・マガロフもショパンはほとんど録音しているものの、全曲がようやく聴けるようになってきた次第です。ショパン・イヤーで聞く機会が出来ました。名演奏と言われていても、CD化されていなかったので一安心。これまでは、ショパン名曲集や、ピアノ名曲集で聴くことができたぐらいです。

ニキタ・マガロフの録音は、こういった名曲集ではなじみのあるものでショパン演奏の規範と言えます。さて、この「全音ピアノピース」のテキストにあわせたCDですけど、ショパンは一曲しか聴けませんけれどもショパンをマイルストーンとした後期ロマン派のピアノ曲がいい感じの9曲のバランスは優れた一枚です。

「全音ピアノ・ピース~ピアノ名曲集7 華麗なる大円舞曲」← CDの詳細を amazon.co.jp で確認する。

1. 雨の庭(ドビュッシー) ゾルタン・コチシュ
2. アラベスク(シューマン) クラウディオ・アラウ
3. アンダンテ・カンタービレ(チャイコフスキー) ラルス・ルース
4. 華麗なる大円舞曲op.18(ショパン) ニキタ・マガロフ
5. きらきら星変奏曲K.265(モーツァルト) ラルス・ルース
6. 銀波(ワイマン) ラルス・ルース
7. グラナダの夕べ(ドビュッシー) ゾルタン・コチシュ
8. 軍隊行進曲(シューベルト) ラルス・ルース
9. 胡蝶(シューマン) クラウディオ・アラウ



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